艇種ガイド 2026-08-28
大学ヨットの470級とスナイプ級、何が違う? 艇種の特徴と選び方をやさしく解説
大学からヨット部・セーリング部を検討していると、部の紹介ページや新歓情報で「470級」「スナイプ級」という言葉を目にすることがあります。どちらも大学ヨット部で広く使われている2人乗りの競技用ディンギーですが、艇の成り立ちや操船方法にはいくつかの違いがあります。この記事では、470級とスナイプ級の基本的なスペックの違いから、操船方法・レース展開の違い、大学ヨット部での採用状況までを整理します。
470級とスナイプ級は大学ヨット部の2大クラス
全日本学生ヨット連盟に加盟する大学ヨット部の多くは、470級かスナイプ級、あるいはその両方を使用艇として活動しています。どちらも「スキッパー」と「クルー」の2人で乗り込む競技用ディンギーで、初心者が大学から始める場合も、経験者と同じ艇に乗って練習することになります。まずは基本的なスペックを比較してみましょう。
基本スペックを比較する
| 項目 | 470級 | スナイプ級 |
|---|---|---|
| 全長 | 4.70m | 4.75m |
| 全幅 | 約1.68m | 約1.53m |
| 定員 | 2人(スキッパー・クルー) | 2人(スキッパー・クルー) |
| 設計年 | 1963年 | 1931年 |
| 設計者 | アンドレ・コルヌ(フランス) | ウィリアム・F・クロスビー(アメリカ) |
| トラピーズ | あり | なし |
| オリンピック種目 | 1976年モントリオール大会から採用 | 採用されていない |
470級は艇名の由来にもなっている全長470cmの艇で、1963年にフランスのアンドレ・コルヌ氏が設計しました。1976年のモントリオール大会からオリンピック種目に採用され、日本でも国際大会での実績が積み重ねられてきたクラスです。一方のスナイプ級は1931年にアメリカで設計された、470級より歴史の古いクラスで、戦後に日本へ紹介されて以降、大学ヨット部を中心に定着してきました。
操船方法の違い:トラピーズの有無
470級とスナイプ級の最も大きな違いは、トラピーズと呼ばれる装備の有無です。
- 470級:クルーはハーネスを着用し、マストから伸びるワイヤ(トラピーズ)に体を預けて艇の外側に大きく身を乗り出します。全体重を使って艇の傾きを抑えるため、風が強い場面ではより高いスピードを引き出しやすいのが特徴です。
- スナイプ級:トラピーズを装備せず、艇の縁にあるストラップに足を掛けて上体を外側に倒す「ホーンチング」という姿勢で傾きを抑えます。トラピーズを使う470級と比べると、体の使い方や重心のコントロールが異なります。
この違いから、同じ強風下のレースでも470級の方がスピードが出やすいとされる一方、スナイプ級は艇同士のスピード差が生まれにくく、接近した展開になりやすい傾向があります。結果として、スナイプ級ではポジション取りや駆け引きといった戦術面の比重が大きくなりやすいと言われています。
大学ヨット部での採用状況
大学ヨット部が使用する艇種は大学ごとに異なり、470級のみ、スナイプ級のみ、両方を使用する部の3パターンに分かれます。
- 両方を使用:早稲田大学(葉山を拠点に470級・スナイプ級の両方で活動)
- スナイプ級のみ:一橋大学(江の島を拠点にスナイプ級で活動)
- 470級のみ:青山学院大学(470級で活動)
このように同じ関東水域の中でも大学によって採用艇種は異なります。ヨットマニアの大学ディレクトリでは、一橋大学や青山学院大学など、各大学の使用クラスや練習拠点を個別に確認できます。関東・近畿北陸以外の水域を含めた各水域の情報は、水域一覧ページからまとめて探すことができます。
初心者は艇種をどう考えればいいか
大学から未経験でヨット部に入る場合、多くの部員は「470級とスナイプ級のどちらが自分に合っているか」を事前に選ぶわけではなく、入部する部が使用しているクラスに合わせて練習を始めます。艇種そのものよりも、その部の活動拠点や年間スケジュール、未経験者の受け入れ体制の方が、入部後の満足度に影響しやすいポイントです。両方の艇種を使用している部であれば、入部後にどちらのポジション・艇種を担当するか相談しながら決められるケースもあります。
まとめ
470級とスナイプ級は、いずれも大学ヨット部で広く使われている2人乗りの競技用ディンギーですが、トラピーズの有無による操船方法の違いや、設計された時代・国の違いを背景に、それぞれ異なる特徴を持っています。470級はオリンピック種目としての実績があり風が強い場面でのスピードが出やすく、スナイプ級はトラピーズを使わない分、戦術面の駆け引きが際立ちやすいクラスです。どちらの艇種を使う部であっても、大学から始めて全国大会を目指す部員は数多くいます。艇種の違いを知った上で、まずは各大学ヨット部の活動拠点や採用クラスを確認することから始めてみてください。