入部準備 2026-10-02
大学ヨット部は泳げなくても大丈夫? 水に対する不安とライフジャケット・安全対策のしくみ
大学からヨット部・セーリング部に入ろうかと考えたとき、「自分は泳ぎが得意ではない」「海に落ちたら怖い」という不安から一歩を踏み出せない人は少なくありません。セーリングは海や湖の上で行う競技のため、水泳の経験や得意・不得意が入部の条件になるのではと心配になるのは自然なことです。この記事では、大学ヨット部で実際にどのような安全対策が取られているのか、泳げない人が入部を検討する際に知っておきたいポイントを整理します。
結論:水泳が得意である必要はない
先に結論からいうと、大学ヨット部の多くは「泳げること」を入部条件にしていません。セーリングは泳ぐスポーツではなく、艇の上でセールとティラー(舵)を操作する競技であり、水に入って泳ぐ場面そのものがほとんどありません。立教大学体育会ヨット部のQ&Aでも、ヨット経験の有無について「問題はありません。部員の大半は大学になってからヨットを始めています」と案内されており、多くの部で未経験者が主力を占めています。水泳が苦手なことを理由に入部をためらう必要は基本的にないと考えてよいでしょう。
なぜ泳げなくても大丈夫といえるのか:ライフジャケット着用の義務化
水に対する不安を和らげる大きな理由が、ライフジャケットの着用ルールです。国土交通省は2018年2月1日から、小型船舶の船室外にいる乗船者全員にライフジャケットの着用を義務付けています。大学ヨット部が使用する470級やスナイプ級のディンギーもこの対象に含まれ、艇に乗る際は常にライフジャケットを着用した状態で練習・大会に臨みます。
ライフジャケットには十分な浮力があるため、万が一艇から離れて海面に落ちても、泳ぐ力がなくても体が自然に浮く仕組みになっています。滋賀医科大学ヨット部が公開している安全対策のページでも、艇から離れた場合はできるだけ力を抜いて水面に浮かび、流木など掴まれるものがあれば体力を温存するよう案内されており、「泳いで艇まで戻る」こと自体が前提にされていません。
なお、セーリングレース中やそれに準じた安全対策を講じた練習では、国の認証(いわゆる桜マーク)付きライフジャケットではなく、日本セーリング連盟(JSAF)の基準を満たした競技用ライフジャケットの着用が認められています。これは競技中の動きやすさを確保するための措置であり、安全基準そのものが緩和されているわけではありません。
部活動としての安全対策のしくみ
個人の装備だけでなく、部活動としての運用面でも安全対策が組み込まれています。代表的なのは次のような仕組みです。
| 安全対策の例 | 内容 |
|---|---|
| 出艇判断 | 主将・上級生が風力・風速や天候の見通しを確認し、条件が悪い日は出艇自体を見合わせる |
| 伴走艇・救助艇 | 練習中は動力艇(伴走艇)が同行し、転覆やトラブル発生時にすぐ対応できる体制を取る |
| 転覆からの立て直し | 新入部員は早い段階で、カプサイズ(転覆)した艇を自分たちで立て直す練習を行う |
| 定期点検 | ライフジャケットの浮力や艇体の状態を定期的に点検し、不具合があれば使用を控える |
新入部員が最初に取り組む練習の一つに、わざと艇を横に倒して転覆させ、ライフジャケットを着けたまま艇に戻って立て直す「カプサイズ訓練」があります。これは転覆が起きても自分たちで安全に対処できるようにするための基礎練習で、多くの部が新歓期から夏にかけて取り入れています。顔が水に浸かることはありますが、泳力そのものを競う練習ではありません。
それでも不安な場合に確認したいこと
ルール上は泳げなくても問題ない一方で、「初めての水上活動自体が怖い」という感覚は人それぞれです。入部前に次のような点を確認しておくと、より安心して判断しやすくなります。
- 新入部員向けの体験乗艇・見学会に実際に参加し、ライフジャケットを着けた状態での感覚をつかんでおく
- カプサイズ訓練をどの時期に、どのような手順で行っているか部に確認する
- 伴走艇の有無や、荒天時の出艇中止基準について聞いてみる
- 水に顔をつけることに強い抵抗がある場合は、その旨を早めに上級生へ伝えておく
体験乗艇は多くの大学ヨット部が新歓期に実施しており、実際にライフジャケットを着けて乗艇してみることで、不安の多くは解消されることが少なくありません。
部活選びの他のポイントもあわせて確認する
泳力の不安が解消できたら、次は拠点までのアクセスや使用艇種、年間スケジュールなど、部活選びで確認しておきたい他のポイントも押さえておくと、入部後のギャップを減らせます。これらの観点は大学のヨット部・セーリング部はどう選ぶ?の記事で整理しています。また、入部前に用意する個人装備については大学ヨット部に入る前に何を用意する?の記事で詳しく解説しています。
気になる大学の加盟水域や活動拠点を調べたい場合は、ヨットマニアの水域一覧ページから9水域の学生連盟をたどれるほか、関東水域ページでは加盟36校のディレクトリを掲載しています。たとえば千葉大学(大学ディレクトリページ)や一橋大学(大学ディレクトリページ)のように、大学ごとの活動拠点や使用艇種を確認できます。
まとめ
大学ヨット部は水泳が得意である必要はなく、ライフジャケットの着用義務化や伴走艇の配置、カプサイズ訓練といった安全対策のしくみによって、泳げない人でも安全に活動できるよう設計されています。実際に部員の多くが大学からセーリングを始めており、水への不安だけを理由に入部をあきらめる必要はありません。不安が残る場合は、新歓期の体験乗艇に参加して実際の雰囲気を確かめてみることをおすすめします。
出典
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