キャリア 2026-08-31
大学ヨット部卒業後、指導者・審判員としてセーリングに関わり続けるキャリア
大学ヨット部を卒業した後もセーリングと関わり続ける方法として、実業団選手権への出場やOB・OG会での交流のほかに、「指導者」「審判員」という関わり方があります。現役時代に培った競技経験を、後進の指導や大会運営という形で活かすキャリアです。この記事では、日本セーリング連盟(JSAF)の公認資格制度や、マリーナ・ヨットスクールでのインストラクター、母校のコーチに就任したOBの例を整理します。
JSAFの公認指導者制度とは
日本セーリング連盟(JSAF)は、指導者・審判員・計測員の育成を担う公認資格制度を運営しています。公認コーチは「クラブコーチ」「クラブシニアコーチ」「アドバンストコーチ」「ナショナルコーチ」の4種類に分かれており、それぞれ目指すべき指導レベルの目安が「JSAF指導者育成フレームワーク」に示されています。
クラブコーチの取得には、JSAF会員であること、資格取得年度の4月1日時点で満18歳以上であること、日本スポーツ協会(JSPO)が行う共通科目講習会とJSAFが行うコーチ専門科目講習会を有効期限内に受講したうえで検定審査に合格することが必要です。上位資格であるクラブシニアコーチではさらに、二級小型船舶操縦士以上の免許を持っていること、満20歳以上であることが条件に加わります。大学在学中に艇の操船経験を積んでいるヨット部員・OBにとっては、比較的取り組みやすい資格といえます。
指導者だけでなく、大会運営を支える公認審判員・公認計測員の資格もJSAFの講習会を通じて取得できます。レースを走る側だけでなく、運営する側として大会に関わり続けるという選択肢です。
母校のコーチ・監督としてチームを支えるOB
大学ヨット部の中には、卒業生がコーチや監督として現役部員の指導にあたっている例があります。名古屋大学ヨット部は一時休部していた時期を経て2017年に活動を再開しましたが、現在監督を務める田中將智氏はこの頃に入部したメンバーで、部員数を徐々に増やしながらチームを立て直してきました。広島大学体育会ヨット部でも、石川監督・前田コーチ・田口コーチといった複数のコーチ陣が指導にあたっていることが同部の公式サイトで紹介されています。
在学中に主将やスキッパーとして培った戦術眼や指導経験を、卒業後に母校へ還元する関わり方は、OB・OG会を通じた資金支援とはまた違う形で部の存続を支える手段になっています。
マリーナ・ヨットスクールでインストラクターとして働く
競技志向のセーリングだけでなく、一般向けのヨットスクールでインストラクターとして働く道もあります。神奈川県の湘南・江の島にある小田急ヨットクラブでは、ヨットスクールや会員向けのセーリング指導を担うインストラクターを募集しており、指導経験がない応募者に対しても独自の指導要領と先輩インストラクターによるフォロー体制が用意されています。青木ボートスクールのように、船舶免許の教習と合わせてインストラクターを紹介しているスクールもあります。ラグナマリーナのようにASA(アメリカセーリング協会)公認資格の取得コースを備えたスクールもあり、国内の指導だけでなく国際的に通用する資格を扱う現場も存在します。
大学ヨット部で身につけた基本的な操船技術やレースの知識は、初心者向けの指導内容とは求められる粒度が異なりますが、体系立った指導者資格を取得することで、こうした現場で活かせる可能性があります。
本業と両立しながら関わる
指導者・審判員としての関わりは、必ずしも本業を辞めて専業で行うものではありません。週末だけマリーナでインストラクターを務める、大会シーズンだけ審判員として大会運営に協力する、母校の練習に定期的に顔を出してコーチ役を務めるなど、本業と両立させながら関わっている例も少なくありません。就職活動の時点でセーリングとの関わり方を決め切る必要はなく、社会人になってからJSAFの講習会情報を確認し、資格取得を検討するという進め方もできます。
加盟大学の体制を知るには
自分の出身大学、あるいは在学中に対戦した大学のヨット部がどのような指導体制を取っているかを知りたい場合は、ヨットマニアの水域一覧ページから確認できます。関東・近畿北陸の2水域は加盟大学のディレクトリも掲載しており、早稲田大学の大学ディレクトリページや東京科学大学の大学ディレクトリページのように、活動拠点や使用クラスを大学ごとに確認できます。
まとめ
大学ヨット部を卒業した後もセーリングに関わり続ける方法として、実業団選手権やOB・OG会に加えて、JSAF公認コーチ・審判員としての活動や、マリーナ・ヨットスクールでのインストラクター、母校のコーチ就任といった選択肢があります。いずれも本業と両立しながら段階的に関われる関わり方であり、競技経験を後進の指導や大会運営という形で還元するキャリアの一つといえます。
出典
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