キャリア 2026-08-20

大学ヨット部を卒業したらセーリングは終わり? OB・OGが競技を続ける方法

大学ヨット部を4年間続けた部員の多くは、卒業と同時に競技から離れていきます。就職して平日はハーバーに通えなくなり、艇や道具を手放してしまう人も少なくありません。実際にセーリング専門メディアでは「ヨットを辞めてしまう若者たちへ」といった特集が組まれるほど、卒業後にセーリングから離れる人が多いことが業界内でも課題として意識されています。一方で、社会人になってからも大会に出続けたり、OB・OG会を通じて母校の部と関わり続けたりする卒業生もいます。この記事では、大学ヨット部を卒業した後の関わり方を整理します。

なぜ卒業後にセーリングから離れる人が多いのか

大学ヨット部の活動は、平日の練習と週末の遠征・大会が中心です。就職すると平日の練習に参加できなくなるうえ、艇の保管場所や輸送費、練習用のマリーナ使用料といった費用も現役時代のように部活動としてまかなうことができなくなります。強い風の中で行う競技であることや、時間・費用の負担が大きいことも、卒業後に競技を続けるハードルとして挙げられます。こうした事情から、大学時代に主力として活躍した部員でも、卒業を機に艇から離れるケースは珍しくありません。

社会人になってもセーリングと関わり続ける3つの選択肢

① 実業団選手権に出場する

社会人セーラーの代表的な大会が「全日本実業団ヨット選手権大会」です。企業ごとに2艇1チームで出場し、合計得点を競う団体戦形式で開催されています。日本セーリング連盟は約9年前に「同一企業所属」という出場条件を緩和し、社会人によるクラブチームの参加も受け入れるようになりました。2025年大会は青森県むつ市の大平マリーナで9月13日から15日にかけて開催され、470級では平成医会が優勝、豊田自動織機が2位・4位、スナイプ級ではAISIN Starsが優勝し、東京海上日動保険や豊田自動織機なども上位に入りました。自動車部品メーカーや保険会社など、大学ヨット部出身者が就職しやすい業種の企業がチームを持っている点は、就職先を考えるうえでも参考になります。

② 就職先の部活・同好会で続ける

マリン機器メーカーのFURUNO(古野電気)では、社会人になってもヨットを続けたいと考える内定者と、実際にディンギー(小型ヨット)でのチーム結成の可能性を見つけた新入社員の対談が同社のオウンドメディアで紹介されています。マリン業界に限らず、社員のスポーツ活動を後押しする社内制度やクラブがある企業では、入社後にセーリングとの接点を保てる場合があります。就職活動の段階で、志望企業に運動部・同好会文化があるかを確認しておくのも一つの方法です。

③ 大学ヨット部のOB・OG会と関わり続ける

現役部員の活動を支えているのは、多くの場合OB・OG会です。東京工業大学(現・東京科学大学)ヨット部は、会員数500名超の一般社団法人「くらまえ潮会」が全面的に支援しており、練習場所の年間契約や保険契約といった、現役部員だけでは担いきれない部分を引き受けています。大阪大学ヨット部も、部員数が5名まで減り存続が危ぶまれた時期をOB・OGの支援によって乗り越え、現在は40名を超える部員数まで回復しました。OB・OG会は資金面の支援だけでなく、定期戦や交流イベントを通じて卒業生同士・世代間のつながりを保つ役割も担っています。

継続的な関わりが、その先のつながりにもなる

早稲田大学ヨット部からは、2009年世界選手権で銅メダルを獲得した原田隆之介選手や、2018年に日本人として初めてワールドカップセーリングで優勝した岡田奎樹選手といった国際レベルの選手が輩出されています。こうした選手の中には、卒業後も国内外のセーリング界で活動を続ける人もいます。トップレベルの競技者でなくても、実業団選手権やOB・OG会での交流を通じて、他大学・他企業のセーラーとつながる機会は多くの卒業生に開かれています。少人数のコミュニティだからこそ、大学・企業の枠を越えた人のつながりが生まれやすいことは、大学ヨット部出身者ならではの特徴といえるでしょう。

加盟大学のOB・OGネットワークを知るには

自分の出身大学、あるいは興味のある大学のヨット部がどのような体制で活動しているかは、ヨットマニアの水域一覧ページから確認できます。関東・近畿北陸の2水域は加盟大学のディレクトリも掲載しており、東京工業大学の大学ディレクトリページ早稲田大学の大学ディレクトリページのように、活動拠点や使用クラス、OB・OG会の情報を大学ごとに確認できる場合があります。

まとめ

大学ヨット部を卒業した後も、実業団選手権への出場、就職先の部活・同好会、母校のOB・OG会といった形でセーリングと関わり続ける道は複数あります。競技を続けるかどうかにかかわらず、在学中に築いた人とのつながりは、卒業後のキャリアにおいても長く続く資産になり得ます。

出典

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